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ルーム・トゥ・リードより女子教育プログラム活動報告 2015 が届きました

いつもルーム・トゥ・リードの活動を応援してくださり、誠にありがとうございます。 日本各地で、大変な暑さとなっておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

日中に街を歩きますと、どっと汗が噴き出すのを感じます。 ルーム・トゥ・リードが活動するアジア・アフリカでは、年間を通して「夏」のような気候の国が多く、

インドやバングラデシュでは最高気温が40度にもなることもあります。

今日は、女子教育プログラム活動報告をお送りし、暑さも吹き飛ばすほど、学ぶことに情熱を燃やすルーム・トゥ・リードの女子教育プログラムの生徒達の姿をご報告させていただきます。

ザンビア:児童婚の危険性について学んでいます

ラオス:キャリア選択の知識を得て、将来の可能性に気づきました

カンボジア:少女達がコミュニティに変革をもたらしています

バングラデシュ:難しい高校卒業試験を高い確率で合格しました

ベトナム:自立するためのスキルを身に付けました

インド:目標を自分で設定することができるようになりました

スリランカ:少女達は学ぶ喜びを分かち合っています

ネパール:学校に通い続けるためのサポートを強化しています

タンザニア:試験が不合格でも学校に通うようになりました

私達の活動する国では、女子が高校卒業まで学び続けることは、当たり前のことではありません。

貧しさだけではなく、国や地域の文化や慣習などの影響があることや、個別の状況に対してルーム・トゥ・リードの現地チームや少女達がどのように取り組んでいるかをぜひご覧ください。

女子教育は、貧困の連鎖をたった一世代で変える力があります。 私達の女子教育プログラムは、これまでに3万8000名が参加し、女子の自立する力を育み、その家族、そしてコミュニティにも変化を起こしています。 これも皆さまが活動の意義をご理解、ご支援くださるおかげです。心より感謝を申し上げます。 ぜひこれからもお力を貸していただければ幸いです。夏の盛り、どうぞご自愛ください。 心からの感謝を込めて。 ルーム・トゥ・リード・ジャパン 松丸 佳穂 今尾 礼子

女子教育プログラムへのご支援、誠にありがとうございます!

中等教育を修了するということは、女子生徒にとって、人生で 最も大きく、最も効果の高い決断となります。 女子が教育を受けることで、世帯あたりの人数の減少、より健全な 家庭環境の実現、HIV 感染率の低減、賃金の上昇などの効果がある ことが数々の調査によって明らかにされています。

しかしながら、 ルーム・トゥ・リードが活動する開発途上国においては、今でも 女子の教育は重要ではないと考えられています。 多くの女子が、 文化的な偏見や伝統に基づく習慣から、早期の結婚や家族への 経済的な援助を求められ、学校に通いたくても通えない要因と なっています。 ルーム・トゥ・リードの女子教育プログラムでは、 女子が中等 中等教育(日本の高校課程)を修了するまで支援を行い、コミュ ニティに対して、女子が教育を受けることの大切さを伝えること で、教育における男女平等を目指します。

女子教育プログラムのアプローチ

皆さまからのご寄付によって、以下の活動を実行することができています

学校での授業やワークショップ、課外授業などで、少女たちが将来自立するために 必要なライフスキルを学ぶワークショップを開催しています。 ここでは、他者への共感、クリティカル・シンキング、自己への認識などを学びます。 これらのライフスキルを日常生活でどのように活用していくかを学ぶことで、彼女たちが直面する様々な課題ー勉強時間をいかに確保する問題や性別の違いによる偏見などーを自ら解決できるようになります。

保護者によっては、学校の制服や安全な交通手段の確保が大きな経済的負担になることがあります。 これらの負担を軽減するよう、学費や制服、試験勉強にかかる費用など、各家庭のニーズに基づいて支援を行っています。 これにより保護者は、娘たちに食事を与えるか、勉強を続けさせるか、という選択をする必要がなくなります。

私たちは、ソーシャル・モビライザーと呼ばれるメンター役の女性を採用し ています。 プログラムに参加している女子生徒達にとって、ソーシャル・モビライザーは ロールモデルであり、相談役であり、自分を擁護してくれる存在です。 ソーシャル・モビライザーは、コミュニティの中で教育を受けた自立した女性の見本として、少女たちに接します。 少女たちが勉強を続けて、目標を追い求められるよう、学校の先生にも働きかけ、 心のケアやアドバイスをしています。

私たちは家族、学校、コミュニティと協力し、少女が中等教育を修了した後も、人生において成功を収めることができるようにサポートをしています。 その一環として、両親が女子教育の重要性や学業を続ける上で直面する課題などについて学べるよう、コミュニティとの会議を開催しています。

ザンビアでは 20-24歳の女性のうちの 4 割以上が 18 歳になる前に結婚しており、児童婚率が高くなっています。 そういった女性の多くは学校を卒業できず、多くは教育よりも子育てを優先します。 ルーム・トゥ・リードは、ザンビアにおいて、女子教育を妨げる最大の要因である児童婚の撤廃に力を入れて活動しています。 今年度は女子教育プログラムの一環 として「児童婚の撤廃」をテーマとしたキャンプを行いました。 その中で被害者となった女性に実際の経験を話してもらい、女子生徒と保護者に児童婚の危険性について理解を深め てもらいました。 また支援するコミュニティだけにとどまら ず、ザンビア自体での児童婚の根絶にも取り組んでいます。 その一つとして 「アフリカの子どものための日」に「児童婚 の根絶」をテーマにイベントを行いました。 そのイベントには多くの NGO の代表が参加し、テレビでも放映されたため、ザンビアの多くの人々に児童婚の危険性を訴えることが出来ました。

自分のキャリアを選択することは誰にとっても難しいことですが、選択肢がほとんど無い場合は、さらなる困難を伴います。 ラオスの女子教育プログラムに参加している多くの少女は田舎の低収入の家庭に生まれ、職業の選択肢がほとんどありません。 ソーシャル・モビライザーはコミュニティの外に広がる多くのキャリアパスについての情報提供を行います。 これにより少女 たちは地域の限られた選択肢に縛られることがなくなります。 例えば 2015 年、ルーム・トゥ・ リードのチームは、サイニャブリー県から、ルアンパバンにあるスパーヌウォン大学への訪問を実現しました。 総勢 25 名の少女たちが キャンパス内を見学し、大学での様々なプログラムやアクティビティについて学部長と話をする機会を持ちました。 多くの少女たちは、高校卒業後すぐに就職するつもりでしたが、訪問後は他の選択肢についても興味を持ち始めました。 将来はエンジニアになりたいという少女もいれば、英語の話せるツアーガイドになりたいという少女もいました。 そして、ラオス初の女性パイロットになりたいという子も! ソーシャル・モビライザーからはフィールドトリップは大成功で、少女たちから大学へ進学するための奨学金や試験の仕組みなどについて次々と質問があり、ワクワクしたとの報告がありました。

カンボジアでは、中等教育課程の修了率は全体でも20%に留まっており、女子になるとその割合は非常に少なくなります。 多くの家庭では、女子教育は価値がないことだと思われており、 教育より家事の手伝いや、家計を助けること、または若く結婚することを期待されています。 私たちは教育を受けた女性がいかに大きな価値があるかを、コミュニティの人々や女子生徒自身が理解できるよう、働きかけています。 女子教育プログラムに参加している女子生徒は、教育の重要性を理解し、情熱を持ち、コミュニティの中で変化をもたらす推進者としても活躍しています。 例えば、ソチアータとソダネットは女子教育プログラムを受講するクラスメートです。 彼女たちは学校で「Friend Help Friend(友達が友達を助ける)」というクラブを設立しました。 このクラブでは学校外での様々な状況において、いかにライフスキルを応用し対応するかについて生徒同士で練習をしています。 また自分たちのコミュニティでも早期結婚や児童労働に反対するキャンペーンを立ち上げ、女子教育と男女平等を推進しています。 週末には授業に遅れをとっている友達のために勉強会も開催しています。 また、学校を中退してしまうような兆候がある生徒を見つけると両親と話し合い、学校を続けられるよう説得もしているのです。

2015 年度は女子教育プログラムを受けた 199 人の女子生徒が高校卒業のための最終試験を受けました。 バングラデシュではこの試験に合格しなければ高校を卒業することはできません。 そして 199 人のうち 187 人が見事合格することができました。 プログラムを受けた女子生徒の 94%が合格したのですが、これはバングラデシュの平均合格率 87%を遥かに上回っています。 この少女たちのほとんどは、コミュニティで初めて最終試験を受けた世代であることを考えると、この結果がどれほど素晴らしいことなのかがわかります。 保護者やコミュニティの人たちも少女たちの努力を評価し、喜び、応援してくれます。 2015 年の 6 月にシラジガンジで行われたイベントには、187 人の女子学生全員とその家族、コミュニティの人々、そしてシラジガンジ地区のトップであるコミッショナーも彼女たちを応援するために出席してくれました。 卒業を手にした少女たちはどのように困難を乗り越え、成功を手にしたかについての話をしてくれました。 今年合格しなかった女子学生もまた来年に試験を受けることができます。 実は、今年度の最終試験には、2014 年に不合格となった 4 人も受験し、見事全員合格しています!

女子教育プログラムに参加する多くのベトナムの少女たちにとって、大都市は、なんとなく聞いたことはあるものの、実際には行ったことがない場所です。 ルーム・トゥ・ リードが支援している地域の多くは遠方の田舎にあり、その地域に住む家族たちは、周辺地域でさえも旅行をするだけの経済的余裕はありません。 そのため、女子生徒は高校卒業が近づき、その先の進学の可能性を考え始める時期になった時、家を出て、行ったこともない大都市で高等教育を受けるということは、大きな不安がつきまといます。 ベトナムチームは、この不安を克服するために、少女たちにライフスキルのトレーニ ングを行い、より多くの経験や人と接する機会を提供しています。 2015 年は、543人の少女たちがサマーキャンプに参加しました。その一環で、文化遺産を訪問したり、チームビルディングのアクティビティに参加したりしました。 また、彼女たちと同じ地域出身の働く女性たちと会い、都市にある様々な会社を訪問しました。 これらの経験によって、少女たちは、ベトナム全体で女性が職場でどのような影響を及ぼしているかを確認でき、 自分たちもそうなれるのだという自信をつける機会になりました。 また、11 年生の 93 名の女子生徒は、大学入学準備のためのキャンプに参加しました。 彼女たちはキャンプに参加したことで、将来を見据えて故郷を離 れることに対する不安が払拭されたと報告してくれました。

ルーム・トゥ・リードはプログラムの改善のため、ステークホルダーである両親、先生、また子どもたち自身がプログラムについてどう考え、感じているかを知ることがとても重要なことであると考えています。 それを受けて昨年、インドでグループディスカッションとインタビューを行いました。 その結果、プログラムを受けることで女子生徒の勉強への熱意と、高校を卒業したいという意欲が上がりました。 また、これからの人生を生き抜くためのライフスキルを身に付けたいと強く思い、プログラムによって自信を得て、新たな目標を設定するようになることもわかりました。 「小さい頃から、 広い道を歩くことを怖がっていましたし、初対面の人に話すのにも緊張していました。 このプログラムを受けて様々な地域を訪れたことで、私は公共の交通機関にも自信をもって乗れるようになり、自分と違う人たちとも話せるようになりまし た。」 「 両親からは教育に対して偏った考え方を教えられてきたので、学校は 8 年生まででいいと思っていました。 その後は 、料理をつくり、 結婚をして、夫と生活するのだろうなとなんとなく思っていました。 でも、今はもっともっと勉強して、自分自身で将来のキャリアを形成していきたいです。」 インドの女子生徒へのインタビューより

14 歳のプラシャンティにとって教育を受けることは果てしなく難しいことでした。 彼女は茶畑のある地域のスラム(貧困地域)に住んでおり、兄が茶葉の収穫の仕事をして稼ぐ賃金では、なんとか食べていくのがせいいっぱいで、彼女が学校に通う余裕はありませんでした。 しかしルーム・トゥ・リ ードの女子教育プログラムに参加したことで、彼女の未来を見る目は変わり始めました。 「ソーシャル・モビライザーは絶対に学校に行くべきだと言ってくれました。家に来て、直接話してくれました。ルーム・トゥ・リードは学校までの交通費、文具代、食事補助費等を援助してくれました。 教育の価値に気づかせてくれ、教育によって貧しさから抜け出せることを教えてくれました。 私は一生懸命、勉強して学ぶことを決心しています 」 プログラムを通して、彼女は自分自身で目標設定が出来るようになりました。 彼女は今、18 歳ですが大学への進学を決意し、周囲の他の子ども達も同じように励ましています。 空いた時間には、一部屋しかない自宅で 20 名もの子ども達に勉強を教えています。 「 ひとつひとつ丁寧に、 教え るよう 心がけています。 私にはみんなの気持ちがわかります。 将来に希望を持ち、 勇気をもって 自分の進む道を見つけてほしいと願っています 」

昨年、女子教育プログラムに生徒達に向けて、新しい予防システムをテスト実施しました。 このシステムの導入で、中退してしまいそうな女子生徒を早い段階で見つけ、学校に通い続けるために必要なサポートを適切に与えられるようになります。 ネパールチームは、調査を行い、4つの中退のリスク要因を特定しました: 1. 学校の授業を欠席する 2. 試験に落ちる、 3. ライフスキルのクラスを欠席する 4. 保護者がミーティングに来ない 年間を通して、この 4 つのうち 1つ以上が当てはまる女子生徒は、まったく当てはまらない生徒と比較して、中退する確率が 5 倍も高いことがわかりました。 この指標を元に、ソーシャル・モビライザーは迅速に家庭訪問やメンタリング、欠席した授業の補習を行うなどの追加のサポートを迅速に行えるようになりました。 このシステムはネパールにおいて大きな効果があったので、 他の 2 か国でもトライアル運用を行っています。 女子教育プログラムを実施する学校の多くは、ネパール大地震の大きな被害を受けた地域からは離れていたため、女子生徒達が全員無事であったことを、感謝とともにご報告いたします

タンザニアでは、中等学校の 2 年次に全国試験を受験することが義務づけられています。 不合格の場合は、留年となります。 残念ながら、多くの少女たちは教育の重要性に気づいていないため、試験に落ちたら簡単に学校を辞めてしまいます。 女子教育プログラムを受けたテレシア・アルフレッドはこの試験に落ちてしまいました。 テレシアの両親は応援してくれましたが、彼女は学校を辞めてしまいました。 しかしソーシャル・モビライザーであるマリア・アーネストはあきらめずに、テレジアの家を何度も訪ね、そして学校教育を修了することの重要さについて繰り返し説明しました。 しかしテレジアは簡単には納得しません。 マリアは他のソーシャル・モビライザーやルーム・トゥ・リードのスタッフの力も借りましたが、それでもテレジアは納得しませんでした。 マリアはテレジアの成功を信じて、長い距離を歩き訪問を続けました。 その結果、ついにテレジアは学校に戻ると約束し、その約束は守られました。 昨年、彼女は再度試験に挑戦し、すばらしい成績で合格しまし た!彼女は今、3 年生を修了するために頑張っています。

 

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